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整体師の手技だけじゃない!信頼を生む接客マナー

整体スクールで講師を務めて18年、生徒さんたちからよく聞く質問があります。「技術は身についたと思うのですが、お客様との接し方がよくわからない」「どんな風に話しかければいいのでしょうか」といった、接客に関する悩みです。

確かに、整体師は技術職だと思われがちですが、実はお客様との信頼関係を築く「接客業」でもあるのです。どんなに優れた技術を持っていても、接客マナーが悪ければお客様は離れていきます。逆に、技術が平均的でも、素晴らしい接客で多くのお客様に愛される整体師もいます。

今日は、私がこれまでの経験で学んだ、整体師にとって大切な接客マナーについて、実際のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

第一印象が全てを決める

「人は見た目が9割」という言葉がありますが、整体師にとって第一印象は特に重要です。お客様は体の不調を抱えて来院されるため、不安な気持ちでいることが多いからです。

私の教え子の一人、林さん(仮名)は技術的には非常に優秀でした。しかし、開業当初はなかなかリピーターが増えませんでした。ある日、実際に施術を受けさせてもらった際、その原因がわかりました。

林さんは無精髭を生やし、施術着もしわだらけで、何より表情が暗く、挨拶の声も小さかったのです。「技術に自信がないわけではないのですが、お客様と話すのが苦手で」と彼は言いました。

そこで、まず身だしなみから改善してもらいました。毎朝のひげ剃り、施術着のアイロンがけ、そして何より笑顔での挨拶を徹底してもらいました。最初は「作り笑顔で不自然では」と心配しましたが、「笑顔は練習すれば自然になります」とアドバイスしました。

3ヶ月後、林さんの整体院は見違えるように変わりました。「先生の笑顔を見ると、それだけで安心します」というお客様の声が増え、リピート率も大幅に向上しました。

言葉遣いと声のトーン

整体師の話し方は、お客様の緊張を和らげる重要な要素です。私がいつも生徒さんに伝えているのは「丁寧すぎるくらいがちょうど良い」ということです。

ある時、私のスクールを卒業した田中さん(仮名)から相談を受けました。「お客様との距離感がわからない」というものでした。話を聞くと、親しみやすさを演出しようと、初回から馴れ馴れしい口調で話していることがわかりました。

「初めまして、田中です。よろしく!今日はどこが痛いの?」

このような話し方では、お客様は不安になってしまいます。特に女性のお客様は、最初から距離感が近すぎると警戒心を抱いてしまいます。

そこで、以下のような改善点をアドバイスしました:

「初めまして、田中と申します。本日はご来院いただき、ありがとうございます。今日はどちらの調子が悪いでしょうか?」

丁寧語を基本とし、相手との距離感を保ちながら、温かみのある話し方を心がけるようにしました。結果として、お客様からの信頼度が大幅に向上し、「先生は安心できる」という評価をいただけるようになりました。

傾聴の重要性

整体師にとって最も大切なスキルの一つが「聞く力」です。お客様の話をしっかりと聞くことで、症状の原因を探り、適切な施術につなげることができます。

私の教え子の佐藤さん(仮名)は、開業当初、自分の技術をアピールすることに夢中で、お客様の話を十分に聞いていませんでした。「この症状なら、私の得意な○○の手技で」と、お客様が話し終わる前に施術を始めてしまうことが多かったのです。

ある日、長年肩こりに悩む女性のお客様から「先生は私の話を聞いてくれない」というクレームを受けました。そのお客様は、単に肩の痛みを取りたいだけでなく、日常生活での不安や仕事のストレスについても相談したかったのです。

この経験から、佐藤さんは傾聴の大切さを学びました。お客様の話を最後まで聞き、共感の言葉をかけ、質問によってより詳しい状況を確認するようになりました。

「それは大変でしたね」「お疲れさまです」「もう少し詳しく教えていただけますか」

このような言葉をかけることで、お客様は「この先生は私のことを理解してくれている」と感じるようになります。結果として、佐藤さんの整体院は「話しやすい先生がいる」と評判になり、多くのリピーターを獲得しました。

説明のわかりやすさ

専門的な知識を持つ整体師は、つい専門用語を使ってしまいがちです。しかし、一般のお客様には理解できない言葉を使うと、かえって不安を与えてしまいます。

私の教え子の山田さん(仮名)も、この点で失敗を経験しました。解剖学の知識が豊富な彼は、「筋膜の癒着」「関節可動域の制限」「神経の圧迫」などの専門用語を多用して説明していました。

ある日、お客様から「先生の話は難しくてよくわからない」と言われ、ショックを受けました。専門知識を活かそうとしていたのに、逆効果だったのです。

そこで、専門用語を使わずに説明する方法を一緒に考えました:

  • 「筋膜の癒着」→「筋肉を包む膜がくっついて動きが悪くなっている状態」
  • 「関節可動域の制限」→「関節の動く範囲が狭くなっている」
  • 「神経の圧迫」→「神経が圧迫されて痛みやしびれが出ている」

さらに、図や模型を使って視覚的に説明することも取り入れました。お客様からは「先生の説明はわかりやすくて安心できる」という声をいただけるようになりました。

プライバシーへの配慮

整体師は、お客様の体に直接触れる職業です。そのため、プライバシーへの配慮は絶対に欠かせません。

以前、私のスクールの卒業生から深刻な相談を受けたことがあります。その整体師は、他のお客様の前で、ある患者さんの症状について詳しく話してしまったのです。「○○さんの腰痛は、実は□□が原因で」といった具合に。

当然、そのお客様は不快に思い、二度と来院されませんでした。さらに、その話を聞いた他のお客様も「自分の情報も他の人に話されるのでは」と不安に思い、足が遠のいてしまいました。

この件から学んだ教訓は:

  • お客様の個人情報は絶対に他言しない
  • 施術室でも他のお客様の話題は出さない
  • カルテや記録は厳重に管理する
  • 家族や友人にも、お客様の話はしない

プライバシーの保護は、法的な義務でもありますが、それ以上にお客様との信頼関係の基盤となるものです。

時間の管理とお客様への配慮

時間に対する配慮も、信頼関係を築く重要な要素です。私の教え子の中で、特に時間管理が上手だった鈴木さん(仮名)の例をご紹介します。

鈴木さんは、予約時間の5分前には必ず準備を完了し、お客様をお迎えできる状態にしていました。施術中も時間を意識し、延長する場合は必ず事前に確認を取っていました。

「申し訳ございません。あと10分ほどお時間をいただきたいのですが、よろしいでしょうか?」

このような配慮により、お客様からは「時間をきちんと守ってくれる信頼できる先生」という評価を得ていました。

逆に、時間にルーズな整体師は、どんなに技術が優秀でもお客様の信頼を失います。「時間を守る」という基本的なことですが、これができない整体師は意外に多いのが現実です。

感謝の気持ちを伝える

最後に、お客様への感謝の気持ちを伝えることの大切さについてお話しします。

私の教え子の中で最も成功している一人、高橋さん(仮名)は、必ずお客様に感謝の言葉を伝えています。施術前には「今日もお忙しい中、お時間を作っていただき、ありがとうございます」、施術後には「今日もありがとうございました。お疲れさまでした」。

単純なことのように見えますが、これらの言葉がお客様の心に響きます。「この先生は、私を大切にしてくれている」と感じていただけるのです。

また、高橋さんは定期的に来院されるお客様の誕生日を覚えており、さりげなくお祝いの言葉をかけています。「今月お誕生日でしたよね。おめでとうございます」といった具合に。

このような細やかな心遣いが、お客様との長期的な信頼関係を築く秘訣なのです。

まとめ

整体師にとって技術力は確かに重要ですが、それだけでは十分ではありません。お客様との信頼関係を築く接客マナーがあってこそ、技術も活きてくるのです。

私がこの18年間で学んだことは、「技術は人を治すが、接客は心を治す」ということです。体の不調で来院されるお客様の心も癒すことができれば、真に価値のある整体師になることができます。

第一印象、言葉遣い、傾聴、わかりやすい説明、プライバシーへの配慮、時間管理、感謝の気持ち。これらすべてが組み合わさって、お客様からの信頼を得ることができるのです。

技術の向上と同様に、接客マナーの向上にも継続的に取り組んでいただきたいと思います。それが、皆さんの整体師としての価値を高め、より多くのお客様に喜んでいただける道につながるのです。

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